「天穂のサクナヒメ」夏アニメで3作品を展開するP.A.WORKSは「万策は尽きていない」

左から相馬紹二氏、衣川里佳、大空直美、吉原正行監督。

TVアニメ「天穂のサクナヒメ」の先行上映会が本日6月29日に東京・TOHOシネマズ日比谷で開催され、上映前の舞台挨拶にサクナヒメ役の大空直美、ココロワヒメ役の衣川里佳、P.A.WORKSのラインプロデューサー・相馬紹二氏、吉原正行監督が登壇した。

大空と衣川は今日のために2人で相談して用意したと言う和装ワンピースを着て登場。「サクナっぽい色味をすごい探して見つけた一品です」と大空は自慢気に衣装をひるがえす。吉原監督が自身は田右衛門に似ていると考えていることから「田右衛門役の……」と冗談を言って挨拶を始めようとすると、一同は「違う違う」とツッコミを入れ、和やかなムードでトークがスタートした。

ゲームからサクナヒメとココロワヒメの声をそれぞれ担当していた大空と衣川。7月6日の放送を控えた心境を尋ねられると、衣川が「ゲームが本当にすばらしい作品で『これはアニメ化するな』と自分の中で確信をしていたので、本当にやっとここまで来られたなと思っております」と感慨深げな様子を見せた。大空も頷きながら「サクナヒメはゲームで演じさせていただいたときから本当に思い入れが強くて、1歩1歩苦労して成長していく彼女のことを本当に愛情を持って見ていた」とサクナヒメに思いを馳せる。そして「大切な作品がアニメ化する。まずアニメ化するというのは、我々声優にとってすごく格別で、本当にうれしいなと思ってます」と続けた。

原作ゲームをプレイしたと言う大空が、ゲーム内の稲作の作業がとてもリアルなことから「稲作 水の量」とキーワードを入れて必死に手法を検索したというエピソードを披露すると、観客から笑いが起こる。ゲームをプレイしてうれしかったポイントは「どんどん食卓が充実していく感じ」と笑顔で語った。ゲームが得意ではないと言う吉原監督は、会社で相馬氏がゲームをプレイする様子を見て情報収集をしたのだと明かす。「会議室にずっと『サクナヒメ実況プレイ』(というスケジュール)があって、割と社員もざわついてました」と裏話をして観客の笑いを誘った。

P.A.WORKSに「天穂のサクナヒメ」アニメ化の話が持ち込まれたのは、原作ゲームが話題になってから間もないタイミングだったため、スピード感に驚いたのだと相馬氏は言う。もともとゲームを知っていた相馬氏は「純粋にお話を持ってきていただいたのはうれしいんですけれど、それだけ期待をされている作品だったので、緊張感も正直あった」と当時を振り返った。また制作を依頼されたのはP.A.WORKS代表・堀川憲司氏が兼業農家として米を作っていることがきっかけだとも話し「僕らは田植えとか稲作というものに近いアニメーションスタジオ」と作品との縁について述べた。

アニメの制作にあたり、制作スタッフが稲作をしたことに話が及ぶと、「もう今年2年目で、もう1回またやってるんですけど、ついこの間枯らしちゃったんですよ」と相馬氏が明かし、稲作の難しさをしみじみと語る。大空と衣川もアニメとJAグループとのコラボ企画で、バケツで稲作に挑戦したのだそう。大空は自身の稲が「すっくと力強く伸びてきた」と報告したが、相馬氏の失敗談を聞き「『枯らしました』なんてアニメ放送中に起こったらどうしよう」と不安げな表情を見せた。

アニメで注目してほしいポイントを聞かれた衣川は「原作ゲームにないシーン」と真っ先に答える。引っ込み思案のココロワヒメについて、アニメでは「内に秘めてる強さみたいなものも垣間見れるんじゃないかなと思っております」とアピールした。大空は「サクナヒメというキャラクターは、心の成長がすごくて」と切り出す。「感情の動きや成長が1話、2話、3話の中でも感じていただけると思います」と先行上映されるエピソードの見どころを観客に伝えた。続けて稲作の描写を挙げ、鍬で耕した土や水を張った田んぼのぬかるみの表現を絶賛。「P.A.WORKSならではのリアリティというか、解像度の高さなのかなと感じました」と観客に向け話した。

相馬氏が会場にゲームをプレイした人がいるかと尋ねると、多くの観客が手を上げる。プレイヤーの多さに驚きつつも「例えば都の中とか、ゲームで描ききれなかった新しい場所とか情報をアニメーションではけっこう追加させていただいてます」と語りかけ、「ゲームをプレイした皆さんにとっても、新しい感覚とか感動っていうものがおそらく得られるのではないか」と自信を見せた。吉原監督はアニメ制作の依頼を受けた当初から「ゲームのストーリーラインが素敵」と感じたことを振り返る。「やるとしたらこの素敵な物語を13本で構成して、皆様に最初にお届けするっていうことだろうなと思ったので、そこをとにかくシンプルに観ていただこうというつもりでやってました」と思いを述べた。

ここでメインビジュアルが解禁に。衣川は「すごい」と声を上げ、「田右衛門、この後転ぶんだろうな」と想像を膨らませる。大空も「元気をもらえるというか、力をもらえるようなビジュアルですごくうれしくなりますね」と満面の笑みを見せた。さらに農林水産省・坂本哲志大臣からビデオメッセージが到着。「私たち農林水産省だけでなく、農業界全体が『サクナヒメ』に強く期待を寄せており、ともに日本の農業を盛り上げていきたいと思っています」と期待と意気込みを込めたコメントが寄せられた。

舞台挨拶も終盤となり、最後の挨拶になると吉原監督が「この素晴らしい作品に出会えて、とても幸運だ」と笑顔を見せた。相馬氏もアニメ化に携われた喜びを伝え「僕らも一番惹かれたところって、王道的なストーリーと言いますか。非常に涙しましたし、そういったところをよりアニメーションという表現で皆さんにダイレクトにお届けできる作品になっているんじゃないか」と期待を煽る。そして7月クールにはP.A.WORKSが制作を手がける「菜なれ花なれ」「真夜中ぱんチ」も展開されることに触れ、「万策は尽きていないので大丈夫です」と自社のオリジナルアニメ「SHIROBAKO」のセリフにかけて言うと、会場は笑いで包まれた。

衣川は「アニメはさらにキャラクターもすべてパワーアップしておりますので、原作をやっている方も、今回初めてアニメから入る方も、本当に楽しんでいただけるような素敵な作品になっております」と自信たっぷりの表情。続く大空は「魂を込めて、全員が大切に大切に命を吹き込んできましたので、ようやくこうして皆さんのもとにお届けできる今日のこの日がとても幸せでいっぱいです」と晴れやかに笑った。最後は大空の「米は」という声に続き会場の全員で「力だ!」と叫び、舞台挨拶は幕を下ろした。

「天穂のサクナヒメ」は同名のアクションゲームを原作とするアニメ。上級神でありながらぐうたらな生活を送っていたサクナヒメが、ひょんなことから神々の都を追放され、不毛の大地で米を育てながら鬼退治に挑む。

TVアニメ「天穂のサクナヒメ」

放送情報

テレビ東京列:2024年7月6日(土)より毎週土曜日23:00~

スタッフ

原作:えーでるわいす
アニメーション制作:P.A.WORKS

キャスト

サクナヒメ:大空直美
タマ爺:鳴海崇志
ココロワヒメ:衣川里佳
田右衛門:矢野龍太
ミルテ:久保田ひかり
きんた:前田聡馬
ゆい:古賀葵
かいまる:桃河りか
カムヒツキ:小日向みわ
アシグモ:各務立基
石丸:亀山雄慈

(c)えーでるわいす/「天穂のサクナヒメ」製作委員会